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【完全版】失敗しない婚約指輪(エンゲージメントリング)の選び方を、宝石鑑定士がやさしく解説

婚約指輪の選び方

2018.12.19

プロが教える「婚約指輪」の選び方

婚約指輪を買うけど、絶対に失敗したくない」
「限られた予算の中で、どうやって指輪を選べばいいかわからない」
「指輪のダイヤモンドの良し悪しってあるの?どうやって見分ける?」

目次

プロポーズ前に婚約指輪(エンゲージメントリング)を買おうと決めたとき、こんな疑問を持たれる方は多いのではないでしょうか。

わたしは宝石・時計いのうえ 宝石鑑定士の井上晃一(いのうえこういち)と申します。

縫製鑑定士井上プロフィール国内最大手の宝飾商社在職中に世界最大のスイス・バーゼル国際見本市他で買付けを担当し、世界の宝飾品を国内に紹介。数々の国内トップクラスの宝飾品展示会企画の経験も持つ宝石・指輪のプロ。

数多くのカップル・ご夫婦のプロポーズ成功のお手伝いをおこなってきた宝石店のプロとして。
長年ダイヤモンドの買いつけをおこなってきた鑑定士・バイヤーとして。

婚約指輪(エンゲージメントリング)の選び方・ダイヤモンドの選び方のコツを中心に、
「もっともリーズナブルに、高品質な婚約指輪(ダイヤモンドリング)を買うためのノウハウ」
について分かりやすくお伝えすべくこのコラムを執筆しました!

「婚約指輪の値段・相場」から「ブランド・ノンブランドの違いやメリット・デメリット」「ダイヤモンドの価格・違いやカンタンな見分け方」「婚約指輪を買うときの良いお店選び」などなど……

この記事ひとつ読むだけで、もっともおトクに、かつもっともプロポーズ相手に喜んでいただけるような失敗しない婚約指輪選びができることをお約束します。

 

やさしく詳しくご説明した分、少し長めのコラムになります。あとで読んでみようという方は宜しければ「ブックマーク」や「ホーム画面に追加」してみてくださいね。
あなたの素敵な婚約指輪選びに役立てていただければ幸いです!

まずどんな婚約指輪があるのか見てみたい方はこちら

1. 婚約指輪(ダイヤモンドリング)の値段・相場について

まず、気になる婚約指輪の購入金額の金額・相場についてみていきましょう。最近の傾向を紹介しながら、価格帯別について詳しく説明していきます。

1-1. 婚約指輪の全国平均購入金額は35.4万円

婚約指輪の価格帯別購入比率

「他の人はいったいどれぐらいの婚約指輪を買っているのか知りたい。」

お店で接客していて、一番多くご相談いただく内容です。
一般の小売店で、婚約指輪の平均購入相場や価格帯はいったいどれぐらいなのでしょう。ゼクシィ結婚トレンド調査2017によると、婚約指輪にかかった一般的な値段の全国平均は35.4万円。わたしどもが店舗を構える福岡県の婚約指輪の平均価格は34.5万円です。

材質はダイヤモンドを選ぶ人が93%ですので、婚約指輪=ダイヤモンドリングと言ってもいいでしょう。

参考記事:福岡で婚約指輪の相場はいくら?年代別・年収別に解説します

それでは実際に購入した指輪の価格帯別のランキングを細かく見ていきましょう。

【1位】30万円40万円未満 27.3%

―婚約指輪にかける最も多かった価格帯は『30万円〜40万円』。
「品質」「デザイン」「特別感」などにこだわって購入する方が多いですね。

【2位】20万円〜30万円未満 23.5%

―『20万〜30万円』婚約指輪を購入する方々は、「クオリティの高いダイヤモンドも購入できる価格帯である」「リーズナブルに購入できる」という意見が寄せられました。

【3位】40〜50万円未満 16.9%

―『40万円〜50万円』の価格帯が3位に。「ワンランク上の品質」「ダイヤモンドの大きさ重視」などちょいリッチの傾向があります。

【4位】10〜20万円未満 16.9%

―比較的購入しやすい『10万円〜20万円』の価格帯が4位に。「自分の好きなものを選ぶ」「予算重視」などの傾向があります。

■「20〜40万円」前後の予算から選ぶ方が50%以上

「20〜40万円」前後の予算で、自分の気に入った婚約指輪を見つける」というカップルが50%以上。また、婚約指輪に100万円以上かけるカップルは、2012年には全体の0.8%にとどまりましたが、5年後の2017年には3.1%と増加しました。

もちろんこれはあくまで平均ですので、どんな婚約指輪を選ぶかは自由。

「プロポーズに婚約指輪は送るけど10万円以下と予算は控えめ」
「雑誌などの平均価格帯を目安にした」

などの意見もある一方で、

「こだわりがあるので、とにかく彼女に好きなデザインを選ばせた」
「一生モノだからダイヤモンドの品質にとことんこだわった」

という太っ腹な方もいらっしゃいました。
ご予算は人それぞれですが、婚約指輪の購入は人生の中でも大きな買い物になることは間違いありません。
だからこそ、失敗しない婚約指輪・ダイヤモンド選びが必要になってくるのです。

1-2. 「ブランド」と「ノンブランド」では同じ品質でも価格差は2倍以上!

いのうえの婚約指輪

婚約指輪について調べているうちに「見た目はそれほど変わらないように見えるのに、店によって値段が違う」と感じた方も多いのではないでしょうか。
確かに婚約指輪は同じ品質でも買うお店(「ブランド」「ノンブランド」等)によってかなりの価格差があります。
実際の価格差がどれぐらいあるのか?皆さんがご想像できないところに、価格差が生まれる原因があるかもしれません。その価格差が起こる原因は何かをみていきましょう。

■「海外・国内ブランド」と「ノンブランド」との大きな価格差

一般的に婚約指輪として人気が高い「0.3カラットのシンプルなソリティアタイプのダイヤモンドリング」デザインをもとに、ダイヤモンドの品質を同じ条件にして、実際にそれぞれの店舗に足を運んで価格を比較してみました。

ブランド・ノンブランドのダイヤモンドリング価格差

ご来店いただいたお客さまに、この価格差をお伝えすると

「こんなに価格差があるの!?」
「(差額が)大きくても数万円ぐらいかと…想像以上の価格差ですね!」

とびっくりする方がとても多くいらっしゃいます。
品質が同じダイヤモンドを選んだとしたら、ブランドとノンブランドには2倍以上の価格差があることがお分かりいただけると思います。

■同じ価格でも、これだけ差が出る品質

今度は視点を変えて、同じ価格の婚約指輪を比較した場合、海外ブランド・ノンブランド、その他の店でどれぐらいダイヤモンドの大きさや品質に差が出るかを見てみましょう。
全国平均サイズ「0.25カラット」の海外ブランドの婚約指輪と、同じ価格の「いのうえ」での婚約指輪を比べてみました。

いのうえと他店の価格差

同じ価格でも品質にかなりの差が出ることにお気づきになりましたか?

ノンブランドの方は、カラー、クラリティといった品質をアップしても、ダイヤモンドの重さを表すカラット(ct)は「0.45ct」と2倍近く大きなサイズになります。また、見た目でも0.25ctは直径約4.0mm、0.45ctは直径約5.0mmとなり、正面から見た時の表面積は1.5倍にもなりますので、輝きもかなり異なってきます。
ブランドやノンブランドなど、お店を上手に選ぶと平均的にかかる価格よりも大幅に予算を抑えながら、ダイヤモンドの大きさや品質、輝きにこだわりをもって選んでいただくことが可能ということがおわかりいただけると思います。

これは、品質が高い上に価格もお得になるということ。結果的に、大変お買い得なお買い物をしていただけるのです。

1-3. ブランドの婚約指輪が割高な価格になる理由

いのうえが割安、他店が割高になる理由

婚約指輪を一番、高い価格で販売しているのは、デパートの宝飾売り場やデパートなどにテナントとして入っている「海外・国内のブランドジュエリー」。いったいなぜなのでしょう?
価格が高くなるのには以下の2つの理由があります。

  1. ブランドイメージを高めるためのブランディング(広告宣伝)コスト
  2. 価格設定に対する考え方の違い

それぞれ詳しく説明していきましょう。

1-3-1. ブランドイメージを高めるためのブランディング(広告宣伝)コスト

銀座・元町・栄・梅田・天神など繁華街

「ブランドジュエリーショップ」は、そのブランドイメージを高めるために、デパートや駅ビルや繁華街の真ん中(東京銀座・横浜元町・名古屋栄・大阪梅田・福岡天神)など、それぞれの地域で一番良い立地にあり、高いテナント代(家賃)を支払って運営しています。

しかもデパートやショッピングセンターに出店している場合、高いテナント代に加え、その売上高の一定割合を「支払手数料」としてデパートに支払っていることも。

その他にもブランド店は、女性誌やブライダル情報誌に大量の広告を出稿。ハリウッドセレブを起用した広告などは、ため息がでるほどの美しさ。女性なら誰でも憧れてしまうようなものばかりです。

ただしこのようなブランディングコストは最終的には商品価格に反映されます。当然、ブランディングコストにお金をかければかけるほど販売価格も高くなることに。海外・国内ブランドと、一般的な宝飾店ではお客様の手に届くまでのコストに圧倒的な差があることは言うまでもありません。

逆にいえば、ノンブランドの婚約指輪はこのブランディングコストがかからない分、品質にコストをかけることができます。同じ価格でも良質なダイヤモンドを選ぶことができるのです。

1-3-2. 価格設定に対する考え方の違い

ブランドのノンブランドの違い

そもそもブランドとノンブランドでは販売価格の決め方についても大きな違いがあります。

■ノンブランドの「競争基準型価格設定法」と、ブランドの「名声価格法」

ノンブランドを扱う一般的な宝飾店では、他社との競争のなかで製造原価やお店の利益を下げるなどの企業努力が盛んです。
他社の価格や「婚約指輪の値段といえば、このくらい」という慣習的な価格などを踏まえて価格設定をしています。これをマーケティング上では、「競争基準型価格設定法」と呼ばれます。ブランドにこだわらなければ、品質に対してリーズナブルな指輪を購入することができます。

一方で、ブランドにはまず、「販売価格を安くすることに重きをおかない」という違いがあります。ブランディングコストをかけてイメージを高め、さらに高い販売価格を設定する「名声価格法(プレミアムプライシング)」と呼ばれる方法で価格を決めていきます。
これは時計や宝石といったラグジュアリーブランドで採用されている方法です。分かりやすく言うと「価格が高いものほど価値があり、価格の低いものが価値も低い」という考え方。ティファニーやカルティエ・ロレックスなどがその代表格ですね。

例えばロレックスの時計は100万円するものもありますが、日本の時計メーカーで1万円で買える優れた商品も。最近では1000円足らずのチープカシオなんてものが十分な性能とシンプルなデザインで人気だったりします。

でも、どちらの価値が高いか?と考えると、ロレックスと答える人がほとんどでしょう。しかし、100万円のロレックスが1万円や1000円の日本製時計にくらべて、純粋な時計の機能として100倍・1000倍も優れているというわけではないというわけではないですよね。
名声価格法はブランドイメージが浸透し、消費者に受け入れられるまで時間がかかるというデメリットがありますが、成功すれば多大な利益を上げることができるだけではなく、さらに高い価格設定も行います。

一般宝飾店は競争の中で企業努力をして販売価格を安くすることを目指す一方、ブランドはブランディングで高価な販売価格を設定しようとしているのです。
では婚約指輪を選ぶときに、ブランドとノンブランドのどちらを選ぶべきなのでしょうか?

1-4. ブランド・ノンブランドで婚約指輪を選ぶメリット・デメリット

婚約指輪はブランドかノンブランドか

2倍以上の価格差のあるブランド・ノンブランドを選ぶさいのメリット・デメリットについて見てみましょう。

ブランドの婚約指輪

憧れのブランドを所有する満足感
品質にはずれがない。安心感
× デザインが少ない
× ブランドにも流行、すたりがある
× 同じ品質でも価格が割高。予算によっては妥協が必要

ノンブランドの婚約指輪

同じ価格だとブランドよりもダイヤが大きく(カラット数)、品質が良い。
価格が安い(同じ品質だと半額程度の場合も)。
デザインが豊富。フルオーダーでオリジナルのデザインも。
× お店によっては価格・品質にばらつきがある
× 品質を見極めるために自分で多少の研究が必要。

欧米などの海外ブランドは歴史があるところも多く、デザインなど独特の世界観もあります。「婚約指輪(ダイヤモンドリング)は、憧れのブランドで!」と心に決めていた人や相手が特定のブランドを好きである場合は、そのブランドの指輪を買うことをオススメいたします。

一方で、決して「販売価格が高いことが、ダイヤモンドを美しくするのではない」という事実も忘れないでください。
というのも実際に、

「やっぱりカラットの大きなダイヤモンドを選んでおけばよかった」
「ブランドではなく、ダイヤモンドにこだわっておけばよかった」

と、後悔されているお客様の声をお聞きすることがございます。若いころは有名ブランドに心惹かれ、選ぶときの最大のポイントがブランド名やイメージだったのが、年齢を重ねると品質を求める方が多くなるからです。

婚約指輪は一生に一度の大きなお買い物。買い直すことはできませんし、永く手元に置いて使うものです。憧れやイメージも大切にしながら、妥協をせずに後悔しないダイヤモンドを選んでいただきたいと思っています。

2. リーズナブルで高品質な婚約指輪を買うには

後悔しない婚約指輪選び

ここまでで、ブランドやノンブランド、お店による婚約指輪の大きな販売価格差や、価格差が生じる理由について、十分ご理解いただけましたでしょうか。
ここからは、実際に婚約指輪を選ぶノウハウについてお話していきます。

2-1. リーズナブルで高品質なノンブランドの婚約指輪

ブランド・ノンブランドにはそれぞれの良さがあります。しかし、選ぶポイントをリーズナブルであることに絞ると、

専門家としてのおすすめはノンブランドの婚約指輪です!

特に、婚約指輪(ダイヤモンドリング)は、そのメインとなる中石のダイヤモンドの大きさが大きければ大きいほど、その輝く表面積が大きくなり、きらめきも大きくなります。

婚約指輪の輝きの美しさはブランドバリューではなく、中石のダイヤモンドそのものの品質・価値に依存します。同じ価格でも、より原材料コストをかけた品質の良いダイヤモンドを選ぶことができれば、より美しいきらめきの婚約指輪をお求めいただけます。

「地球からの贈り物」と称される天然のダイヤモンドには、それだけで普遍的な希少価値があります。ダイヤモンドそのものの品質にこだわって選んでみるのが賢い選択肢のひとつと言えるのではないでしょうか。

しかしノンブランドの婚約指輪を選ぶときには、注意すべきポイントがあります。

2-2. ノンブランドの婚約指輪はピンキリ。価格・品質の見極めが難しい

テレビショッピングで指輪を買う

深夜のテレビショッピングなどで「1カラットが99,800円!」などという、信じられないような値段のダイヤモンドが登場することもありますよね。

1カラットであれば通常100万円ほど、相場を度外視するような驚くほど低価格のダイヤモンドは、透明度や色が悪かったり全く輝かなかったりなど、かなり品質を落とした大きさだけのダイヤモンドと考えていいでしょう。

(*ただし、安いダイヤモンドの中には、値段からは考えられないくらいの品質の高いダイヤモンドがあるかもしれません。ここでお話しているのは、あくまでも安さだけが強みのダイヤモンドについてです)

使う場面にもよりますが、品質を落とした安いダイヤモンドが必ずしも悪いわけではありません。カジュアルにつけたり、趣味で購入するジュエリーであれば、問題ないでしょう。
しかし、一生に一度の婚約指輪と考えると品質を落として安さだけで選んだ大きさだけの輝きの弱いダイヤモンドは、やはり心もとないと言わざるをえません。

安物買いの銭失い。

「値段の安いものばかりに気がとられていると、大切なことを見落として、かえって高くつく」という意味のことわざですが、これは婚約指輪選びにも当てはまります。
値段が安いからといってそれだけで購入すると、後悔するリスクが増えるのです。しっかりと自分にあう、相手に喜ばれるダイヤモンドを見極めて、良い買い物をしましょう!

とはいえ、宝飾品を購入する機会の少ない特に男性にとってダイヤモンドの見極めは難しく感じるかもしれません。このダイヤモンドの見極めポイントについて解説していきます。

2-3. ダイヤモンドの価格・品質の見極めが難しいと感じる理由

ダイヤモンドの比較

「ダイヤに価格差があることは分かったけれど、自分で実際にダイヤモンドの価格や品質の良し悪しなんて分かるのかな。」
という方も、この記事をお読みの方の中におられるかもしれません。でもこれは無理もないこと。

少し専門的になりますが、その理由を細かく説明していきます。

  • ダイヤモンドの品質評価の国際基準4Cを知らない
  • 販売店によってはスタッフが4Cをきちんと説明していない
  • ごくわずかな差が数万、数十万円の差に。正確に比較しよう

2-3-1. ダイヤモンドの品質評価の国際基準「4C」を知らない

ダイヤモンドの4C

まずはダイヤモンドの基礎知識である「4C」について解説していきますね。

そもそもダイヤモンドは世界にふたつとして、同じものはありません。ダイヤモンドは、工業製品ではなく自然から偶然生まれた産物。全く同じものはあり得ない唯一無二の存在。そのため、ダイヤモンドを比較するには何かしらの基準が必要ですが、実は20世紀の半ばまではダイヤモンド評価に関する世界基準はありませんでした。

そこで1950年代の前半に独立非営利組織のGIA(米国宝石学会) が世界で初めて、ダイヤモンドの品質を表現するための基準、すなわち 「4C」(カラー、カラット、クラリティ、カット)を生み出しました。現在ではこの基準が国際的に受け入れられています。

4Cは、世界中であらゆるダイヤモンドの品質を評価することのできる方法となり、これをベースとしてダイヤモンドの価値(価格)が決定されているのです。

ダイヤモンドの品質や価値を知るには重要な基準であるのが、4C。言ってみれば、4Cを知らなければ、いいダイヤモンドを選ぶことはできないのです。

2-3-2. 販売店によってはスタッフが4Cをきちんと説明しないことも。

宝石店スタッフが4cを説明

4Cがダイヤモンド選びの重要な基準であるにもかかわらず、いざダイヤモンドを下見に行っても、お店によってはデザインばかりを強調し、4Cについてほとんど説明しないところもあるようです。

実際のところ、販売上においては都合が悪いお店があるというのも理由のひとつかもしれません。ダイヤモンドの品質基準についてあまり強調しすぎると、品質や価格で他店と比べられてしまう場合があるからです。

このような知識について勉強するのは少し面倒ですが、婚約指輪は一生の中でも特に高価な買い物。自分自身でダイヤモンドを見きわめ、どんなお店にも対応できるように、最低限4Cだけは理解しておいていただきたいと思います。

2-3-3. グレードのごくわずかな差が数万、数十万円の差に。正確に比較しないと損!

婚約選びはちょっとした差で何万〜何十万円の差に

「なんとなく良さそうだからこれにしよう」
「1グレードの差だからまあいいや」

このような妥協をしないようにご注意を!

ダイヤモンドの1グレードの品質の差は、非常にわずかで厳格に決められています。しかし、そのわずかな品質の差によって、価格は大きく違ってくるのです。
例えば、カラット、カラー、カットが同じダイヤモンドで、肉眼での見きわめが難しいごくわずかなクラリティ(ダイヤモンド内部の不純物や目に見えない程度のキズ)の違いだけで値段を比較してみましょう。


ダイヤのクラリティの違い

0.3カラット/Dカラーの場合
クラリティ カット 価格 見え方
「SI1」 3EX
H&C
129,000円 肉眼では内包物の発見不可能、10倍の拡大で発見が容易
「VS1」 3EX
H&C
146,000円 肉眼では内包物の発見不可能、10倍の拡大で発見がやや困難
「VVS1」 3EX
H&C
197,000円 肉眼では内包物の発見不可能、10倍の拡大で発見が困難
「IF」 3EX
H&C
197,000円 肉眼では内包物の発見不可能、10倍の拡大で内包物がなし

上記4つのダイヤモンドが並んでいると考えてみてください。パッと見たところ、同じようなグレードのダイヤモンドに見えるはず。

毎日ダイヤモンドを鑑定しているベテランのバイヤーでさえも、肉眼だけではその違いはわかりません。にもかかわらず、その価格(価値)の差は数万〜数十万円の差に。ブランドとノンブランドの間で比較すれば3〜4倍近くの価格差になることも。

そのため、バイヤーの買いつけ現場では、そのダイヤモンドを10倍の拡大鏡でじっくり観察するのはもちろんのこと、4Cをもとに価格を正確に確認しながら仕入れをしていきます。「4C」で比較せずにダイヤを買うことはありえません。

4Cは価格を決定するうえでも重要なポイント。皆さんが購入するにあたっても「自分の欲しいと思っているダイヤモンドが、4Cでいうとどのグレードになるか」を正確に知るのは非常に重要なことなのです。

2-4. 婚約指輪選びで失敗しないための4つの方法

婚約指輪選びで失敗しないための4つの方法

ここまでお話した理由をふまえて、お客様が婚約指輪選び(特にダイヤモンドリング)で失敗しないための方法は下記の4つに集約することができます。

  1. まずは4Cを勉強する
  2. 4Cだけに頼ってもダメ!自分の目で本物のダイヤモンドをチェック
  3. 専門家にダイヤモンドの選び方を聞く
  4. 信頼のできるお店を探す

2-4-1. まずは4Cを勉強する

ダイヤモンドの4C

婚約指輪選びで失敗を防ぐ最も手っ取り早い方法は、
「自分でダイヤモンドの品質基準である4Cを勉強し、実際にダイヤモンドをみること

理由はすでにお分かりですよね。ダイヤモンドの品質基準がどのようなものかを知っておかなければ、購入時にご自身でチェックできないからです。

世界中のバイヤーが取引を行う現場でも、婚約指輪に使うような大きさ、品質のダイヤモンドの場合「ソーティング」と呼ばれる業者間取引で使われる鑑定書と同等の簡易鑑定書によって4Cの品質評価がされています。その品質評価4Cをもとに買いつけをおこなう、非常に重要な基準なのです。

わたしども「宝石・時計 いのうえ」では婚約指輪(ダイヤモンドリング)を販売するときに、まず初めに必ずこの4Cといわれる品質基準をご理解いただけるまでご説明しております。
販売しているダイヤモンドがどのような品質であり、それに基づく価値がどれぐらいであるのかをご理解いただくために非常に重要だからです。

ダイヤモンドの4Cをざっくりと理解できたら、実際にお店に足を運んで自身の目でダイヤモンドを見比べて選びましょう。やはり、理屈や理論も重要ですが、実際にダイヤを見ることがもっともその違いやちょっとした差を実感できます。


■4Cの見るべきポイント

お客様にチェックしていただきたいのは、トップランクのダイヤモンドとの違いが、肉眼で見てわかりはじめるグレード、つまり「境界線のグレード」です。

  • カラーでいうと無色から色がつきはじめる「Fカラー、Gカラー、Hカラー」
  • クラリティでは肉眼で内包物が見えないグレードから見えはじめる「VS2、SI1、SI2、I1」
  • カットは「エクセレント、ベリーグッド、グッド」です。


「DカラーとFカラーの見分けがつかない」
「SIグレードって思ったより、きれい」

こんな風に実際に体験することによって、インターネットや本などの情報から得られなかったことに気づくと思います。

また、「カラット(大きさ)」の違いも忘れずに見比べてみてください。0.2ct、0.3ct0.4ct0.5ct、ご予算に余裕があるならば0.7ct1ctなどもチェックしてみてください。カラットは肉眼で見てすぐにわかる、大きな違いです。

婚約指輪は年齢を重ねてもお使いいただくのもの。予算の範囲内で、ご自身がちょうどよいかなと思うよりも少し大きめのダイヤモンドをおすすめいたします。

いのうえではダイヤモンドの違いを体験したい方のために、「ダイヤモンド体験会(無料)」を実施しています。良いグレードのダイヤモンドばかりだけではなく、普段店頭に並ばない悪い見本のダイヤモンドを見ていただくことで、ダイヤモンドの品質の良し悪しを学んでいただけます。ご予約で随時、お受付可能です。どうぞお気軽にご参加ください。

「来店予約(ダイヤモンド体験会)」

2-4-2. 4Cばかりに頼ってはダメ!自分の目で本物のダイヤモンドをチェック

自分でダイヤモンドをチェック

4Cが重要、と繰り返したあとで矛盾を感じる方もいるかもしれません。でも、実はプロのバイヤーがダイヤモンドの取引をする場合、この4Cのスペックだけで取引することはないのです。4Cはあくまでも判断基準。それ以外にも見るべきポイントがいくつかあります。

例えば、ダイヤモンドの美しさの源泉となる「テリ」と呼ばれる輝きの強さ。これは4Cの評価の対象に含まれていません。

また、プロのバイヤーは「蛍光性」、「ダイヤモンドの蛍光性」や「クラリティのグレードを決める内包物の有無」も厳しくチェックします。特に内包物は、その位置やどのくらいの大きさであるかなど、チェック項目がたくさんある美しさの基準になります。

このように、4Cの評価基準だけでは測り切れない要素がダイヤモンドにはあるのです。4Cの評価が低くてもなぜか美しく見えるダイヤや、逆に4Cは良いのにあまり魅力を感じないダイヤモンドもあります。

こうした違いはダイヤモンドを実際に見て、体験することでしか判断できません。
一度理解すると、どうしても4Cばかりに着目しがちです。しかし、店頭で検討する際には、あくまでも4Cは目安とし、実際に自分の目で見比べて納得できる美しさのダイヤモンドをご購入いただきたいと思います。

最近は、事前にバイヤーがダイヤモンドを検品することなく、4Cの品質評価(鑑定書)だけをチェックし、卸業者の在庫リストをそのままホームページにのせて、在庫として持っていないダイヤモンドを販売しているお店が増えています。この事実はぜひ、知っておいていただきたいポイント。

確かに低価格で大量に販売するには良いビジネスモデルですが、プロのバイヤーのチェックを受けてないダイヤモンドには当たりはずれがあるということを覚えておいてください。

「自らの目で選びぬいたダイヤモンドの在庫を保有して販売する」

効率も悪く時代遅れのようですが、本当のプロフェッショナルであれば譲れないこだわりがあるはず。

「宝石・時計 いのうえ」ももちろんそうですが、販売価格を安くする企業努力をしても、妥協をし品質を下げることはいたしません。

ダイヤモンドは天然の産物ですから、鑑定書上、同じ品質とされるものでも実際には数十ピースのうちから1ピースしかセレクトできないようなケースも起こるのです。でも、これこそが、専門家としてこだわりを貫くためのがんばりどころだと考えています。

規模の小さなお店でもバイヤー(仕入れスタッフ)が厳選に厳選を重ねてダイヤモンドを買いつけしているところも。今は、ブログなどでこうしたこだわりを持ったバイヤーが在籍しているお店を簡単に探すこともできます。ぜひ、実際にこうしたお店のダイヤモンドをチェックしてみてください!

2-4-3. 専門家ならではのダイヤモンドの選び方を聞く

宝石の専門家にダイヤモンドの選び方を聞く

ダイヤモンドは、価格が2倍だから2倍美しいというわけではありません。確かに4Cの品質評価が高いダイヤモンドは、希少価値があり価格(価値)も高くなりますが、ある一定のグレードを超えるとその美しさは高止まりしてしまうからです。

つまり、価格が高くなればそのダイヤモンドの希少価値は比例して高くなりますが、美しさと価格は必ずしも比例しないということ。

見た目に美しいダイヤモンドをできるだけ低価格に選ぶ、もしくは同じ予算でより美しいダイヤモンドを選ぶポイントが「4C」にもあるのです!

美しいダイヤモンドをできるだけ低価格で選ぶ、同じ予算でより美しいダイヤモンドを選びたいと思ったら、バイヤーがチェックする4Cのポイントも知る必要があるのです!

参考記事:宝石鑑定士が選ぶダイヤモンド4Cのポイントとは?

できることならば実際に買いつけをしている百戦錬磨のバイヤーに聞くと勉強になります。
ブランドやチェーン店では、販売担当と買い付け担当、製造担当が分かれているためなかなか難しいですが、地域に根差した小売店などでは買いつけ経験のある方が販売も担当していることがあります。

購入する際に4Cについてなど、自分が疑問に思ったことを色々質問してみましょう。
「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」。本当にダイヤモンドを理解している専門家であれば、どんな質問にでもわかりやすく教えてくれると思います。私、井上もお客様の疑問に喜んでお答えしておりますので、どんどんご質問ください!

「来店して婚約指輪やダイヤモンドについて聞いてみる(無料)」

2-4-4. 信頼できるお店を探す

宝石時計いのうえ店内イメージ

最後におすすめしたいのが
信頼できるお店で購入すること
です。

「4Cについて一通り勉強してみたけれど自分で選ぶ自信がない…」
「グレードの違いがよく分からず、みんな同じダイヤモンドに見える」
「品質に対して割高なダイヤモンドを買わされたらどうしよう」

このような不安をお持ちの方も、「信頼できるお店」で購入するのが安心です。

とはいえ、「信頼できるお店がどこだか分からない!」という方もいらっしゃるかもしれませんね。では、最後に信頼できるお店の見分け方をいくつか挙げてみましょう。

都市部にあるお店
都市部は競合店が多く、価格競争が生まれるため値段が安いところが多くなります。
ウェブサイトに婚約指輪の具体的な品質と価格を掲載している
ダイヤモンドのグレードや指輪の価格を明記していないお店があります。実際に行ってみたら、予算よりはるかに高い金額だった…ということも。お客様に足を運んでいただくうえでも、はっきりとグレードと価格を表示しているところは、責任感のある店だと言えます。
専門性の高いお店であること
ダイヤモンドの見極めには専門的な知識と経験が必要。宝石以外にも服飾や日用品などを扱っているお店はあまりお勧めできません。
極端な値引きやサービスをしていない
値引き交渉を前提とした高めの価格設定をしている場合があります。また、「お買い上げいただいた方に〇万円の商品券をプレゼント」といったサービスも同様。初めから価格に上乗せされていることがあります。
在庫にあるダイヤモンドだけを販売している
在庫にないダイヤモンドを売っている店は、検品されていないダイヤモンドを販売しているということ。ハズレのダイヤモンドである可能性もあります。

また、宝石店やジュエリーショップに行く時にどんな服装や格好でいけばいいかというご質問をいただくこともありますが、かしこまりすぎる必要はございません。
ハイブランドのお店でTシャツやサンダルなどはさすがに浮いてしまいますが、わたしどものような宝石店・ジュエリーショップであれば、シャツなどきれいめのカジュアルな服装で十分です。
男性おひとりで婚約指輪選びに宝石店に行くときには、パートナーの方の髪型・メイク・服装などが分かる写真をスマホに入れておくのがおすすめです。
その方の服装・雰囲気にあったデザインの婚約指輪選びについて、スタッフに相談しやすくなるからです。

3. まとめ:失敗しない婚約指輪の選び方

ジュエラーいのうえ代表

今回のコラムをきっかけにダイヤモンドの価格差、品質基準や本当の価値、正しい選び方などについて少しでもご理解いただけたのではないかと思います。
ごくわずかな1グレードの差でも数万円の差が出てくるのがダイヤモンドです。

「ダイヤモンドであれば、どれも同じ」と見過ごされがちな品質ですが、ダイヤモンドを正しく選ぶことは、婚約指輪の購入費用を節約することにも通じます。
ご結婚式まで、またご結婚後は、さまざまなところでお金が必要になってくるもの。毎日の少しずつ節約して月に数万円ほどの節約をしても、1回の買い物で数万円単位の損をしたら、本末転倒ですよね。

今回の記事の内容をぜひ覚えておいて、リーズナブルで高品質な婚約指輪(ダイヤモンドリング)のお買い物に役立てください。

また、ご自分で勉強をして選んだダイヤモンドであれば、ひときわ愛着もわいてくると思います。
数年後、あるいは数十年後に「当時は、いろいろと勉強してこの指輪を選んだね」とお二人で思い出していただければ、これほど幸せなことはありません。

人生における大きなお買い物となる、婚約指輪選び。
妥協をせずに、納得のいく価格のものを選んでいただきたいと思います。

失敗・後悔されることのないよう、心から願っております。

記事で学んだことを使って、婚約指輪を見てみる

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